1月10日付け毎日新聞に、東京医科大助教授の森俊文さんの投稿記事が掲載されていました。以下の文章です。
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「医者の不養生」とはよく言ったのもで、以前私は76キロ、BMI25以上の肥満で、少しの動作でも息切れや倦怠感を感じる日々を送っていました。しかしそれでは、医師として胸を張って患者さんと向き合えないと考えるようになりました。また、同世代の患者さんを診るうちに、他人ごとではないと考えるようになりました。
その頃です。栄養の講習を受ける機会があり、食事の欧米化に伴い、病気が増えていることを改めて思い知りました。その後栄養を勉強し、現在の医療を改めて直視するうちに「日々の食事を考えることのほうが、現在の医療よりも勝っているのではないか?」と感じるようになりました。そして、植物性食品を中心とした、すなわち食物繊維を意識した食生活を送ることで減量を試みました。といいますか、減量が目的ではなく、病気にならないための食生活を送りたいと考えるようになりました。
現在私は58キロですが日々の生活を送る上ですごく良いと感じています。以前あった脂質異常症、非アルコール性脂肪性肝疾患は、正常な状態に改善しました。だからこそ、皆さんにも食物繊維を意識した食生活を提案したいのです。最近の研究では、腸内細菌のバランスの乱れが、自己免疫性疾患、アレルギー性疾患、がん、肥満症などのさまざまな疾患の発症や病態に影響していることが分かってきました。つまり、善玉菌を増やし腸内細菌のバランスを保つことが、とても重要なのです。今我々にとって最も重要なことは、善玉菌のえさとなる食物繊維を日々の暮らしの中にいかにとりいれるかだと、私は考えます。
我々医師は、日々進歩する医療でもって病気を発見、治療させていただいています。
しかし、その進歩はいまだ不十分で、限界を感じる瞬間があるのは確かです。また我々は皆さんの病気を予防できないのも確かです。なぜなら、病気は皆さん自身で予防するものだからです。食物繊維は植物性食品である野菜類、豆類、穀類、キノコ類、海藻類などに多く含まれています。自分だけでなく家族や身の回りの人たちが健康的な日々を送るためにも、まずは食物繊維意識した食生活を始めてみてはいかがでしょう。
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私たち栄養士は、日常の食事で「食物繊維をしっかり摂りましょう」ということは、もう随分前から指導していました。この文章を読みまして医師の方々は食事について余り関心を持たれている方は少ないと感じました。
食物繊維を多く摂取するには、野菜類は1日350~400gは食べて欲しいです。目分量として淡色野菜は、両手に山盛り1杯、緑黄色野菜は片手に山盛り1杯位、と覚えておくと良いでしょう。海藻類やキノコ類も低カロリーですので、1日に1回は食卓に並べることをお勧めします。ご飯も白米よりも、発芽米や、玄米、雑穀などを加えることで食物繊維は多く摂取できます。
健康は、毎日の積み重ねでゲットできます!