4月5日付け読売新聞 “元気なう”の記事から
健康のため、減塩が迫られている。厚生労働省が策定する「日本人の食事摂取基準」が改定され、食塩の摂取目標量は1日当たり男性(18歳以上)がこれまでの9gから8g未満、女性は7.5gから7g未満に減った。だが、この数値はWHO(世界保健機関)が推奨する5g未満とはかけ離れている。厚労省は実行可能性を考えて、国民が実際に摂取している量とWHOの5gの中間値に近いところを改定値にした。
「世界的にみても日本人の食塩摂取量が異常に多く、食塩中毒です。今や国民の3人に1人、4000万人が高血圧で、その6,7割は塩分の取りすぎが原因とみられます。だか減塩すれば血圧は下がり、高血圧病の患者は減ります」。こう語る日本高血圧学会減塩委員会協力会員で、東京女子医大東医療センター内科准教授の渡辺尚彦さんに、減塩の手だてを聞く。
日本食は海外でも評価されているが、塩分が多い欠点がある。海に囲まれた日本は、古くから製塩技術を持っていたこともあり、塩に慣れ親しんできた。かつての典型的な朝食の一つだっだ「塩鮭に味噌汁、漬物、梅干し」。これだけで塩分は1日目標量の8gに近い。「減塩が難しいのは、食文化に反する面があるのも事実。食べ残すのは良くない、もったいないと言われてきたので、塩辛いものも全部口にしてきた」と渡辺さん。 ラーメン一食で塩分8gを超えることもある。「スープ半分残せば、半分近く減塩できる。塩分のあるものを、少しでも残すのが第一歩。残すのは“健康マナー”と割り切りましょう」
塩分は(ナトリウム)は生きていくためには絶対に必要なミネラルです。主な働きとしては骨・血液・筋肉や内臓機能を調節し、細胞外液のミネラルとして、カリウム(細胞内液)と共に浸透圧の調整を司っています。
普段の食事では不足をすることはまずありません。問題なのは過剰摂取です。塩分は食材には欠かせないものが多く、その上調味料などにも多く含まれているので知らず知らずに過剰に摂ってしまうことになります。ラーメンやうどんのスープやだし汁には多量の塩分を含んでいるので残すことと共に、中華めんやうどん、そうめんなどにも塩分は含まれています。また知っていいるようで知らないのが、パン類に含まれる塩分量です。例えば食パン1斤(400g)には5.2gの塩分が含まれています。6枚切り(約70g)1枚で0.9g、フランスパン60gで1gになります。
塩分を控える調理法を身につけることも必要です。塩・味噌・醤油などの調味料は控えめにして煮物やお浸しなどはだしを利用して食材そのものの旨みを引き出すように。サラダなどは酢醤油やポン酢、レモン汁などで、またパセリ、しそ、みょうが、生姜、ハーブなどの香草野菜。カレー粉、わさび、こしょうなどのスパイスを上手に使って塩分を減らす工夫をしましょう。
そして、カリウムを多く含む食品、大豆・海藻類・芋類・ほうれん草などを積極的に摂ることで、塩分の吸収を抑えることができます。