11日の毎日新聞に興味深い記事が掲載されていました。その記事とは
一人の食事でも、鏡に映る自分の姿を見ながら食べると、鏡なしの場合より食べ物を美味しく感じるとの実験結果を、名古屋大の中田龍三郎 研究員(心理学)らがまとめ、日本認知科学会で発表したとのこと。
この記事を読んで30余年前のことを思い出しました。
その当時、私は市役所に「栄養士登録」をしていた関係で、市役所の現職栄養士が産休に入るので半年間来てほしいということで、勤務する ことになりました。主な仕事は保育所の献立作成と栄養指導でしたが、それとは別に高齢者の方に月1回ボランティアの方たちがお食事を提供するための献立作成もお願いされました。
その後、ボランティアの方達が本格的に“一人暮らしの高齢者の会食会”と言うものを立ち上げるので、個人的にお手伝いして欲しいとのことで私もボランティアの一員として参加することにしました。しかしながらほとんどの方が主婦ですから、家庭の料理はできても、50~60人分、また多いときは100人分を作るということもあり、私は献立作成から発注、調理指導、衛生指導など、月に1度といえどもとてもハードでした。(とてもやりがいがありました)
しかし、高齢者の方達がとても心待ちにしていて、私たちも一緒にお話ししながら皆さんとお食事ができるのはとても楽しいものでした。
ある時、一人のご老人が私に声をかけてきまして、
このようにみんなで食べることはとても楽しく美味しく食べられるけど、“私が家で一人で食べる時はどうやって食べているかわかりますか?”って聞かれました。私にとって思いもよらない質問でしたので、テレビをみながら?ラジオを聴きながら?と答えましたら、
“そうじゃないのよ、一人で食べるのはとっても寂しいので鏡を前において、寂しさを紛らわすために鏡の自分に話しかけながら食べているのよ~”
その時私はトイレに駆け込んだのを今でも忘れることはできません。
私にとって一人で食べるということの考えが新聞記事とは全く違っていましたので、ちょっと書いてみました。